慶ちゃんが抱いてくれない!
「真穂ー?もう帰れる?」
「あ!慶ちゃん!」
部室に慶ちゃんが来ると、点数悪くて少し凹んでいた気持ちが一気に晴れる。
私は慶ちゃんの腕に抱き着いた。
「帰れる?じゃないでしょ!慶次もテストの結果出して」
「はぁ?俺、化学部じゃねぇし」
「俺の弟だろ!早く出して」
「何でいつも兄貴がチェックするんだよ……めんどくせぇな」
慶ちゃんはめんどくさそうに鞄を降ろして机の上にテストの結果を拡げた。
全部80点以上…慶ちゃんのいつもの点数だ。
「……慶次はいつもと一緒か」
「慶ちゃんすごーい!格好良い!」
「武蔵君だけじゃなくて、慶次君もなかなか勉強出来るのね」
「……あれ?真穂、点数落ちてるじゃん!」
慶ちゃんは広げてあった私のテスト結果を覗き込んだ。
「これからは勉強会別々の部屋でやるから。っていうか、慶次は一人でも出来るでしょ?真穂といたくて参加してるだけだし。楓ちゃんも参加するように!」
「わかったわよ!勉強教えてくれるのは良いけど、武蔵君は受験生なのに人の勉強ばかり見てて大丈夫なの?」
「教えるのも勉強になるからね」
「武蔵君なら大丈夫だよ!今回の期末試験も全部1位だったもんね!」
「そうなの!?試験前にも一緒にカラオケ行ったのに!?」
「兄貴は試験前勉強しないよ」
武蔵君はすごく頭が良くて、入学してから試験は常に学年1位の記録を更新し続けている。