慶ちゃんが抱いてくれない!




真穂の隣りに座ると、真穂はいつもの様に俺にもたれかかってくる。


そして、俺に耳打ちをした。



「慶ちゃん……怖いから手繋いでていい?」

「本当昔から怖がりだよな」




そう言いながらも真穂と手を繋いでやる。



付き合う前の去年までは手は繋がなかったが、怖いシーンになると真穂が抱き着いてきてくれたりして無条件に頼られるのが嬉しくて続けてきた俺の下心満載の恒例イベントだった。



兄貴は単純にみんなで映画が観れればなんでも良いらしい。



チラッと南條の方を観ると、あんな豪語してた割りに兄貴にベッタリくっ付いて映画を観ていた。




南條って結構兄貴の事気に入ってる……っつーか、付き合ってるよな?
よく二人で出掛けてるし、昼休みもカップルと過ごしたくないとか理由つけていなくなるけどいつも兄貴と過ごしてるのを実は知っている。





「わ……わああぁ…やっぱり怖い…」

「こ……このくらいで怖いなんて…真穂ってば、本当怖がりね」



南條は兄貴の腕に掴まりながら怖がってる真穂に向かってそう言った。




よく言うよ……



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