慶ちゃんが抱いてくれない!
「うぅー…」
真穂は俺と繋いでいない方の手をテーブルの上に伸ばして、グラスを取って飲んだ。
「ん!?わぁ!これ、楓ちゃんのシャンパンだった!」
「グラス全然違うのになんで間違えるの!?」
「ちょっとくらい飲んでも平気だろ」
俺はそれに対して特に問題視する事はなかった。
「駄目よ!全く、最近の高校生は!」
「真穂、大丈夫?水飲む?」
兄貴が手際良くコップに水を汲んで、真穂に渡した。
「ありがとう!本当にちょっと飲んじゃっただけだから大丈夫だよー」
真穂はコップの水を飲んで、ケロッとしていた。
「もう……こっちのグラスのは飲まないように気を付けて」
「ふへへっ…ごめんね」
そして、映画鑑賞は再開した。
しばらくすると、かなり怖いシーンに差し掛かった。
いつもなら真穂が大騒ぎをする所だが、真穂は俺にもたれ掛かったまま動かない。