唯くん、大丈夫?
私たちは電車に揺られて二つ隣駅の繁華街で降りた。


「いぇーい!ケーキ!ケーキ!やった!やった!」

小躍りしながらケーキ屋に向かう私の背中に、美琴が声をかけた。


「あ、優花。そこのお茶屋さん寄っていい?お母さんにお使い頼まれたんだ。すぐ戻るから。」


「おっけー!ここで待ってる!」



お茶屋さんのパタパタはためくのぼりの横に立って、頭の中で自作のケーキの歌を歌いながらたくさんの人が行きかう商店街をぽーっと眺める。







「…こんなとこにいるわけないのにねぇ」



誰にも聞こえない大きさの声で独り言を言った。




その時、





「…行かないってば!」




向かいの電柱の影の方から、聞いたことのある声が聞こえた。



見ると、隣駅にあるお金持ち高校の制服を着た背の高い爽やかイケメン2人が、電柱の影に向かってニコニコ声をかけてる。



片方の金髪イケメンが言った。


「別にホテル行こうって言ってるわけじゃないじゃん。なに?お友達と待ち合わせ?」


「…違う…けど…」




…あ

やっぱりこの声




恐る恐る近寄ってのぞいてみると、その相手と目があった。






「…!」
 









紫藤、ユリア。





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