唯くん、大丈夫?
紫藤ユリアはバツが悪そうにわたしから目をそらす。


「本当に無理。行かないから。」


小さな声で言って逃げようとすると、もう片方の黒髪パーマイケメンが紫藤ユリアの腕を掴む。


「待って!
俺らも女の子に声かけるなんて初めてなんだ。
君、凄くかわいいから。
またいつ会えるかわかんないじゃん?だからちょっとだけお話ししたいの。
本当にちょっとお茶するだけ。
ね?お願い!」


黒髪パーマイケメンが手を合わせて爽やかな笑顔で懇願する。

この繁華街じゃナンパは珍しいことじゃないけど、こんな一生懸命されることあるんだ…。


「あ、もしかして彼氏いるとか?」

「……いないけど」

「ラッキー!じゃあ行こっか!」

「え!?ちょ、ちょっと!」



わ、わ、ヤバい、


困惑する紫藤ユリアの手を勝手に繋いで連れてこうとしてる!





「ッあーーー!!!!お待たせ!ま、待った!?」



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