唯くん、大丈夫?
「…優花?大丈夫?」
「へ?なにが?」
私はお昼休みの教室で自分の席に座り、おにぎりを頬張りながらアホっぽい顔を対面にいる美琴に向ける。
「おにぎり、いつもより小さいし少ない。もしかして食欲ないの?」
…美琴さん。よく見てるじゃん。
唯くんの気持ちに気づかない鈍ちんのくせに。
「あー違う違う、ダイエット!チョコ作る時試食しすぎてちょっと太っちゃったんだよね、あははー!」
「…」
美琴が無言で『本当に?』という圧をかけてくる。
「本当だって〜」
本当は図星だけど、言えない。
上履き捨てられたり朝っぱらからヤキ入れられたことも、言えない。
美琴も唯くんも、絶対心配するもん。
大丈夫。
ヘラヘラ笑ってかわしてればいつかは相手もめんどくさくなって、嫌がらせも飽きる時が来るはず。