唯くん、大丈夫?
「ただいま~」



私はぴょんっと立ち上がって小走りで声の主の元へ駆けつける。

玄関にあるポチャッとまぁるい背中に、いつも通り笑顔で声をかけた。


「おとっさんおかえり~!」


脱いだ革靴を靴箱にしまいながらこちらを振り返り、いつも通りのぽわわんとした笑顔を私に向ける。


「おー優花。ただいま。ケーキ、美味しかったか?」




今日は疲れてそう。

夕飯の後あったかいお茶を淹れてあげようかな。


「うん!夢の時間だったよ!グラタンあるけど食べる?」

「え!作ってくれたの?今日は作らなくてもいいって言っただろ。」

「それがね~、うっかりいつもの癖で作っちゃったのよ!癖って怖いねぇあはは。」

「そうか。優花のおいしいごはんが食べれるのは嬉しいよ。ありがとうな、優花。いい子いい子」

お父さんが嬉しそうに私の頭をなでた。


「えっへへ~」


「…あんたらいい加減そういうのやめろよ。もうすぐ高3になる女って、もっと自立してんじゃないの?」


いつの間にか後ろにいた咲優が顔をしかめている。


「なんだ?うらやましいのか咲優。そう言うお前も今度は中2だな。かぁわいいなぁ。うりうり。」

お父さんが咲優の頭をわしゃわしゃしてやめろ!さわんな!と咲優が必死に抵抗している。


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