唯くん、大丈夫?
「なんで…
笑ってるの?」
めちゃくちゃかわいい笑顔で笑っていた。
「……俺の彼女、アホすぎ」
あまりにもその笑顔が可愛いので、見惚れてしまう。
こんな笑ってる唯くん、初めてみたかもしれない。
「怒んないの…?」
「怒ってほしい?また2週間やる?」
「嫌です!怒んないで!」
また唯くんが笑う。
「…なんか俺、頭おかしいのかも。」
「え?」
「優花がアホなのが、嬉しい。」
…
?????
「どゆこと?」
「優花のアホが染みる。はー。空気がうまい。」
「え?唯くん、唯くん、私はどうしたらいい?」
「アホのままでいてね」
「え!?お安い御用だ!」
唯くんはまた可愛く笑いながら私の手を握って、
私はパンパンになった心のデータフォルダにまたひとつデータを追加しようと、
懸命にその笑顔を目に焼きつけた。
後日、
唯くんは全教科で高得点を取って学年10番以内に入るという快挙を成し遂げ、
唯くんが頑張っていたあれやこれは全部ホワイトデーのためだったということと、
カルメ焼は別に好きじゃないということを、
私はホワイトデーの次の週になって初めて知るのだった。