唯くん、大丈夫?
「ねーてらちんって、好きな人いるー?」
土を弄りながら聞いてみる。
「あ?」
突然不機嫌な声を出すてらちん。
「てらちん独身でしょ?モテそうなのに、何で結婚しないのー?」
「お前それ、社会に出てから言ったらセクハラだからな」
「えへへ!JKだからセーフってことにしてもろて!ね、好きな人は?いる?」
てらちんがため息をついてもう一度軍手をはめた。
「…いるよ」
「え!誰!?誰!?」
山尾先生だったりして!?
てらちんが私の隣でしゃがみ、花壇の土を弄りながら
「…羽根村。」
私の名前を呼んだ。
「ん?」
「羽根村。」
「はい」
「だから、羽根村。」
「え?」
てらちんは雑草をゴミ袋にガサガサと入れながら言う。
「…今、好きな人いるかって聞いたよな?」
「うん」
てらちんが、メガネの奥から私をまっすぐ見た。
「…羽根村。」