唯くん、大丈夫?
マーク。
唯くんは前を向いたまま私の手を引いてどんどん歩いていく。
「あれ?唯くん、手繋いでくれるの?やったー!」
「…掴んでないと飛んでいきそう」
「飛ん…?どこに?」
「どっか。」
「えぇ?いくら頭空っぽでも飛んでいくほど軽くないよー!あはは」
唯くんはいつも唐突に変なこと言うなぁ。
足の長い唯くんの歩幅に追いつこうと、私は小走りで唯くんについていく。
「ていうか飛んでってもちゃんと帰ってくるよ!
それはもうブーメランのように!
…いや、伝書鳩のように!
んん?もっといい表現ないかな…」
山手線のように?払いすぎた利息のように?
んー?
私がどうでもいいことに考えを巡らせている間にも、唯くんは前を向いたまま駅に向かって突き進んでいく。
「とにかく、帰ってくるよ!
私には唯くんを拝んで愛を捧ぐという任務があるからね〜へへ!」
「…」