唯くん、大丈夫?
「…えっと今回はー、バイク雑誌の撮影で?」
「は?」
またなんか言ってんな、と私を見下ろす唯くんの顔は相変わらず整いすぎていて、全方位かっこいい。
眩しさに耐えかねた私は顔を両手でぺチッと隠してしゃがんだ。
「どうして…どうして事前に言ってくださらなかったんですか…!」
こんな、こんなかっこいい人の前にどうしてこんなこんな残念な姿で出ていかねばならぬのですか…!?
久しぶりに会うのに、せめてもう少し人間らしい姿で会いたかった!!
「…いいからはよ来い」
唯くんは私の質問には答えず、手に持っていたヘルメットを差し出した。
おずおずと唯くんに近寄っていってそれを受け取ると、フワッと唯くんの匂いがする。
う、
うぅわぁああああ
生の、生の唯くん唯くん唯くんだぁぁぁあ!!
感動でメットを持つ手がガタガタ震える私に、唯くんがメットを奪ってガポッとかぶせた。
「…バイク怖い?」
「え?あ、全然!」
「じゃー行きますよ。はい。」
唯くんはバイクに跨り後ろの席をポンポン叩く。