唯くん、大丈夫?
まさか、まさか唯くんのバイクに乗せてもらえる日が来るなんて…!



「すごい…彼女みたい!」

「…いーから。早く乗って、彼女。」

「っだぁーーーー」

「静かになさい」

「はい」



私はドキドキしながら唯くんの後ろに跨る。


そして、目の前に広がる大好きな背中。


くぅ…たまらん…


唯くんから見えないのをいいことにニヤニヤしてると、唯くんがバイクのエンジンをかけた。




「ちゃんと捕まって」











どこに?






「早く」

「あ、はい!」





唯くんに急かされて、私は戸惑いながら唯くんの腰にぎゅっと抱きついた。




「!」


唯くんがビクッと体をこわばらせる。



「えっ、あ、あれ?ごめん!違った?」


私は慌てて体を離した。



「…いや、違くないんだけど…そうか。そうなるか。」


唯くんは前を向いたまま、独り言のように呟いた。


「…?」



どうしたらいいかわからないでいると、唯くんが私の手を引いて自分の腰の両脇に置いた。



「…うん。これで。行くよ」

「はーい!」



その言葉を合図にブルルン!と唸りを上げて私たちを乗せたバイクが走り始めた。

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