唯くん、大丈夫?
「ただいま」


いつも通り靴を脱ぎながら声をかけると、すぐに母親が出てきてハラハラした様子で俺に聞く。


「おかえり。返ってきた?」


「…うん」



鞄から今日もらってきた模試の結果を取り出して渡す。



「………ハァ。」



母さんがため息をついて俺を見る。




「ここ滑り止めよね?C判定って…どうするの?浪人するつもり?なんでもっとちゃんと勉強しないのよ。ただでさえ葵があんな風になっちゃってご近所さんの目が痛いのに…あなたまでお母さんの顔に泥を塗る気!?」


「うーん、ちゃんとしてるんだけどね」



ヘラヘラ笑う俺にまた母さんがヒステリックな声をあげようとした時、

後ろから父さんがきて母さんから紙を取り上げた。




「…なんだこの結果は。光。もう入試まで4ヶ月だぞ。いつまでチャラチャラ遊び歩いてるつもりだ。」


「…」


「これまでお前にいくらかけたと思ってる?」



あ。始まる。




「お前がちゃんと見ないからこんなことになるんだろ。予備校だってどうしてあんなとこに行かせてるんだ。」


「な、ちゃんと見てますよ!見てないのはあなたでしょう?あんなとこって言いますけどね、実績も講師も業界一位の予備校なんです!大体あなたはいつもいつも口ばっかりで…」




俺は絵に描いたような毒親たちから目を背け、自分の部屋へ向かう。
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