唯くん、大丈夫？

重なる。

駅を降りて、ひとまず西大を目指して走る。



「今どこ？」という私のメッセージにみね君からの返信はなく、
もしかしたらもう家に帰ってるか、
もしくは全然違うところに行ってるかもしれない。




ボトボトと、天気予報通りの大粒の雨が降り出した。









「…」









『死にたい』








私も、今まで生きてきた中で一度だけ、本気でそう思ったことがある。






お母さんが出ていってしまった日。






その日もこんな風に真っ暗な空から大粒の雨を落としていた。






…ダメだよ、みね君。


一人でいたらダメ。


どこにいるの、みね君…！





私は折り畳み傘を開いて、もう一度走り始めた。


西大近くには川の上を繋ぐ橋がいくつかかかっていて、合格発表を見終わったらしい受験生たちがその橋の上を続々と駅に向かって歩いてくる。



その中に一際目立つはずの金髪を探すけど、いない。



ふと対岸に見える人通りの少ない橋が目に入った。





「！」





私は踵を返して、雨が打ちつけるアスファルトの上を水飛沫をあげて走りだした。
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