唯くん、大丈夫?
唯くんが誰かの胸ぐらを掴んで、窓から落とそうとしてる!!
目を力強く見開いて歯を食いしばる様はまるで、怒り狂った獣、みたいで。
私は思わず両手で口を塞いだ。
必死で唯くんの暴走を止めようとする男子達と委員長。
美琴も駆け寄って一生懸命唯くんを引き剥がそうとする。
「唯!だめだよ、危ないよ!!」
普段温厚な唯くんは、過去にも突然牙を剥くことがあった。
でもそれは自分のためじゃなくて何かを守る時で、
「黙ってろ美琴…!こいつは優花を殺そうとしたんだよ!!」
……今、優花って言った?
唯くんは物凄い殺気を放ったまま、呆然と立ち尽くす私に気付いた。
「…っ、」
唯くんは肩で息しながらきまり悪そうに視線を戻す。
「く…くじょうくん、やだなぁ…ちょっとした冗談じゃん…その手離したら俺、死んじゃうよ…?」
唯くんが怒ってるのは、斉藤くん?
「この真冬にずぶ濡れにして長時間閉じ込めて、冗談?」
唯くん…一昨日のことを言ってる?
「まさかスマホ駄目にしてるとは思わなかったんだよ!!それにもう少ししたら様子見に行くつもりだったし…」
あれ斉藤くんだったの?
え?なんで??