唯くん、大丈夫?
「あの時『病院送りにする手間が省けましたね』って凄まれてさ。あれ痺れたなー。」
みね君がまた床に座ってバッシュの紐を結び始めて、私も隣に座り持ってきたバッシュに履き替える。
「あはは!あのとき美琴、みね君のこと大っ嫌いだったからねぇ。それからだよね、美琴のことさん付けで呼ぶようになったの」
「そう。ちゃん呼びしてはいけない人だと悟った。」
真顔で言うみね君を見て、病室でのことを色々思い出してつい笑いがこぼれる。
「フフ。美琴がくる前、みね君土下座してたね」
私の言葉にみね君が眉間にしわを寄せた。
「…おい、そこ掘り返すなよ。」
「『こないだはごめん!俺どうかしてた!本当にごめん!』って言いながら頭を床にこすりつけてさぁ、あはは!」
私は当時のみね君の必死の剣幕を再現しながら思い出し笑いする。
「俺あのとき本当に申し訳なくて本気で謝ってたのに優花に爆笑されてめっちゃ萎えたわー」
「あは。だって私土下座されてるなぁって俯瞰で見たら面白くなってきちゃって!
みね君のうなじにホクロがあるなぁとかどうでもいいことに気付いちゃったりしてさぁ。」
「どうでもよくねーだろ!セクシーポイントだろ、うなじのホクロ!」
「あはは!セクシーポイントって!」
私は思い出し笑いで目じりにたまる涙を拭いてはー…と一息つく。