唯くん、大丈夫?
ピンクの胡蝶蘭。
「うっ…グスッ、よか、よかた…ねぇ…ッ!」
「…うん。だから泣きすぎなんだってば、優花。」
昨日と同じ時間に美琴の病室にやってきた私は、呆れる美琴を目の前に涙の滝を垂れ流している。
純君にされた感動的なプロポーズの話を聞いてしまったからだ。
ハンカチやティッシュでは足りないと察した美琴が大きめのタオルを差し出してくれる。
「うっ、うっ。めでたい。めでたいねぇ…!」
ずっと遠距離で寂しい思いをしてきた美琴や、
目覚めない美琴に泣きながらずっと付き添っていた純君を思い出して、涙が止まらない。
尊い。
2人の幸せが、尊い。
「絶対幸せになってね…!というか、なれる!2人ならなれる!ご祝儀弾むからねぇ…!」
「いいってそんなの。それより、今日はこのあとなんか予定は?」
「え…?特にないよ」
わたしは美琴が渡してくれた大きめタオルでぐしぐしと顔を拭く。
「そっかそっか。」
美琴はうんうん頷きながらスマホを軽く操作すると、私の手土産に手を付けた。
「…ん!優花の持ってきてくれたパウンドケーキ、すっごくおいしい。」
ん?なんで予定聞かれた?その話は終わり?
はぐらかされたことを追求しようとした時、ベッド横の棚に置かれた花が目についた。