唯くん、大丈夫?
「あの時…優花の病室に行く途中で唯に会ったの。そこでこれを優花に渡してくれって。俺からだって言わないでって。」







ドクドクと心臓が大きく脈を打ってはやくなっていく。







病室のベッドの上

扉が開くたびに期待して

絶望するのを繰り返したあの一週間





あの一週間の中でもうダメなんだと悟った私は

卒業式の日に自分から唯くんに別れを告げた





あの一週間に

唯くんが…?








「…な…んで…?」







息がうまくできなくなる私に、美琴がゆっくり首をふる。




「…わかんない。教えてくれなかった。
あの時の唯、とにかく辛そうで…何も聞けなかった。」



「…」



「ごめんね、優花。2人のことに首を突っ込みすぎちゃいけないって…勝手なことしちゃいけないと思って、ずっと言わなかった。」



私はそこにある胡蝶蘭を見る。


もう4年も前のことに、胸がぎゅっと締めつけられる。


美琴からだと思ってた小さな胡蝶蘭。


寂しい病室でふわふわと風に揺れて私を癒してくれた、小さな胡蝶蘭。






「優花…ピンクの胡蝶蘭の花言葉、知ってる?」


「え?」


美琴が動揺する私の手をつかんで、まっすぐな目で言う。



「白じゃなくて、ピンクの胡蝶蘭。調べてみて。」



唯くんが持ってきてくれた花の

花言葉?



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