唯くん、大丈夫?
深い夜。
…んー?
なんかあったかくて気持ちいいなぁ。
それに懐かしい匂い。
『次は西万住、西万住です。』
隣駅の降車案内のアナウンスが聞こえて、
わたしはゆっくり目を開けた。
人がまばらの電車内。
仕事終わりらしいサラリーマン、遠くの方で騒ぐ飲み会帰りの学生たち。
腕時計は23時40分を示している。
う…頭痛い。ちょっと気持ち悪い。
…そうだ、
私、唯くんと飲んでて……あれ?わたしどうやって電車乗ったんだっけ?
ふと視線を横にずらすとスーツの男の人の足が見える。
そこで自分が隣の人に思い切り寄りかかっていることに気付いて、慌ててその肩に乗せていた頭を離した。
わわ、申し訳ない…スーツの人すみませ…
「………え!?」
私の大きな声にその人がビクッと体を震わせて、目を覚ました。
「……あー…ヤベ、寝てた…」
ふぁ…と唯くんが呑気にあくびをした。