唯くん、大丈夫?
…おっけー?



みねくんが立ち上がって呆然とする私に背を向けると、おもむろにスマホを取り出してどこかに電話をかけ始める。



「………あ、しおり?」



え?誰?


みねくんが空を見上げながら話し始める。



「いま暇?久しぶりに遊ばね?…は?彼氏できた?チッ。ふざけんな。なにクズ脱してんだよ。もういい」


そう言って電話を切ると、またすぐにどこかに電話をかける。


「…あーもしもし?リオちゃん?久しぶり。いま暇?うん…まじ?やった。じゃあ今からそっち行くわ、うん。…はーいじゃーねー」


電話を切ったみねくんが、嘘みたいにヘラヘラしながら私に向き直る。




「じゃあ俺、今から浮気してくるわ」


「…え?」




私はみねくんの繰り出す怒涛の展開に、全然ついていけない。




「性欲お化けの俺は、まともにディープキスもできない優花のウブさに耐えかねて浮気しちゃって、そんでその浮気相手のこと本気で好きになっちゃう」


「え…なん…?」


「だからごめんなさい」


みね君の笑顔の中の目は、潤んで揺れている。




「俺と、別れてください」

「…!」
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