唯くん、大丈夫?
…朝。


同時に訪れる虚無感、喪失感。



手のひらには、千切れたレザーブレスレット。



昨日久しぶりに目について、触りながら昔を思い返してたところを寝落ちしたらしい。






…こんなもんいつまでも持ってるなんて

自分のことながら気持ち悪い







ベッドから這い出て、もうクタクタになってしまったブレスレットをもう一度引き出しの奥にしまった時、スマホが振動した。


…白井さんだ。


まだ夢の中の気持ちを引きずったまま、スマホを耳にあてると、甲高いハキハキとした白井さんの声がする。







「あ、唯。起きてるね、よかった。今日9時からだけど、来れるよね?」


「…ん」


「じゃあ現地で待ってるから。場所、メッセ入れとくね。じゃ。」




スマホがプツッと切れて、俺はバイトに向かうべく支度を始めた。





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