唯くん、大丈夫?
混乱する俺は置いてけぼりで、ペラペラと言葉を繋げていく長嶺光。
「だから俺はね、優花には幸せになってもらわないと割に合わないんだよ。つーか俺が絶対に幸せにしてやるって言っちゃったからさぁ。」
「…何が言いたいの?」
「まだわかんない?ほんとバカだね、あんた。」
「…あぁ?」
意味のわからないことを言って俺を嘲笑うそいつの、胸ぐらを掴みたい衝動を必死で抑える。
「はー…」
長嶺光はガードレール添いにしゃがみ込んで頭をグシャグシャと掻きながら、自分に言い聞かせるように独り言をこぼす。
「…本当は俺から言うべきことじゃないんだけど。
多分俺しかいないんだよなー。
あー、しんどー。」
「だからなんなんだよ」
俺はなぜか言いたいことを勿体ぶる長嶺光に苛立ちを覚え、その黒髪を見下ろして言葉を急かす。
長嶺光は俺を見上げて、
大きく息を吸って、言った。
「…唯くんといたいんだって」