唯くん、大丈夫?
「あ!待て待て!どこ行く!?」
慌てて俺を呼び止める長嶺光の声に、俺は急ブレーキをかけて振り返る。
「えっと…東万住…?」
「今日はバイト!行くなら世界橋駅!」
いいやつかよ。
「ありがとう!
…みね君!」
盛大な舌打ちが聞こえる。
「その呼び方すんじゃねぇ!バーカ!!」
背中にみね君の全力の暴言を浴びながら、
もう一度俺は走り始めた。
ずっと待たせてしまった、
俺の大事な、大事なヒロインを迎えに行くために。