唯くん、大丈夫?
唯くんは私の手を取って、歩き始める。


「えっ、えっ、唯くん、どこ行くの…!?」

「優花ん家。だめ?」

「そ、れはだめじゃないけど…大丈夫…?」

「大丈夫じゃない」

「え!?じゃあやっぱりその、事務所?に行ったほうが…」


唯くんが立ち止まってくるっと振り向き、私を見る。


「大丈夫じゃないから、はやく2人っきりになりたい」


唯くんの曇りない瞳に、再び心臓が速く脈打ち始める。


唯くん、それって、


「4年」

「へ」

「4年分たまってる」


唯くんが、キレイな無表情を崩さず一歩ずつ距離を詰めてくる。


「た、たまって…?」


唯くんが例の肉食動物の目をするので、私は思わず後ずさる。


「結局できてないじゃん、俺たち」


じり、じり。


「で、できてないって…?」
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