唯くん、大丈夫?
「美琴さん、これはー…」
「優花。」
「はい!」
美琴がスマホを持つ手に目一杯力を込めるので、スマホがギシギシと音をたてる。
あ、壊れる、壊れるよ〜
と思いながらもその恐ろしさに声を出せない私。
「優花、ごめん。」
美琴がワナワナと震える手でなんとかスマホの画面を閉じ、ボスッと鞄に突っ込む。
「はい…?」
「私が間違ってた。」
「え?みみ、みことさん?」
美琴がゆっくりと立ち上がって仁王立ちする姿は、
少年漫画の主人公が覚醒してこれからボスを倒しに行く時のそれ。
「こっちは離れててもただただ信じて不安な日も純さん頑張ってるんだからって我慢して…それなのに……こんな…、こんな理不尽な話があっていいと思う?」
美琴がどんどんヒートアップしていくのが目に見えてわかる。
「み、みみみみことさん、一回落ち着こう!ここは一つ大人になって!ね?」
「むり。落ち着けない。子供でいい。許せない。」
あ、あれれ〜?
朝と言ってることちゃうやーん?
美琴が拳をバキバキッと鳴らしたので、私は「ヒン!」と声を漏らして震え上がる。