今日から君の専属マネージャー
吉田さんは涼ちゃんの部屋に行くまで、ことの経緯を話してくれた。
つまり、吉田さんがイケメンになって帰ってきた経緯を。
吉田さんは入院中に病院内の理髪店で髪を切ってもらったらしい。
毛量が多くごわついた髪の毛を整え、目にかかりそうな前髪も、すっきり切り落とされたそうだ。
ぼさぼさの眉毛も、きりりとした釣り眉毛に整えてもらったそうだ。
「これでお願いしますって言って渡したら、完璧に再現してくれたよ。
プロってすごいね」
吉田さんの中でひらひらしているものを見て、私は思わず顔をしかめた。
それが、涼ちゃんの切り抜き写真だったから。
__この人、本気?
私に不審な目を向けられても、吉田さんはどこ吹く風という感じで、満足げだった。
さらに、病院とは規則正しい生活ができるゆえ、日ごろの睡眠不足も解消され、食生活も整うので、肌艶もよくなったという。
眼鏡はまだ直っていない。
今かけている眼鏡には、あの時ひびが入ったままになっているし、ぽきりと折れた部分はセロテープで補強している。
記者に対応している時に外していたのは、このメガネではカッコつかないから、ただそれだけの理由だった。
だから実際は、何も見えていなかったという。
「でも不思議なことに、かわいい子はばっちり見えるんだよね」
笑いながら吉田さんは言った。
吉田さんはそんな風にずっとしゃべり続けている。
まるで、私に何か聞かれるのを、私が何か話し出すのを、遮っているように。
あるいは、動揺を誤魔化していたのかもしれない。
だって吉田さんからは、さっきから変な汗がだらだらと流れ続けているんだもん。
どう見てもおかしいではないか。