今日から君の専属マネージャー
報告書10.訪問者

 翌日の朝には、涼ちゃんの熱愛報道がネットニュースやテレビのワイドショーで大々的に報じられた。

それに対してのコメントがネット上に殺到していた。


__ショック。

__辛すぎる。

__裏切られた。

__もうファンをやめる。


本当に勝手なことばかり書かれていて、そんなコメントを読むたびに、悲しさと怒りがどんどん湧いてくる。

だけどそれはすべて、私のせいなのだ。

私が全部もたらしたことなんだ。

それなのに、私には何の影響もない。

責められるのは、傷つけられるのは、涼ちゃんばかりだ。

恋愛なんて誰でもするのに。

どうして涼ちゃんがすると、まるで犯罪をしているように言われるの?

芸能人は恋愛しちゃいけないの?

そもそもあんな記事間違っているのに。

どうして涼ちゃんではなく、こんな記事を信じるのだろう。

みんな涼ちゃんの何を見てきたのだろう。

こんなことで、涼ちゃんの努力は水の泡になってしまうのか。

それが悔しくて、悲しい。

涼ちゃんは今、どれだけ多くのものを失おうとしているのだろう。

約束を破ったわけでもないのに。

いつも一生懸命仕事をしているだけなのに。

そして私はやっぱり、何もできない。

一視聴者として、テレビやネットで涼ちゃんのニュースが流れるのを、ただ見ているだけだ。

そしてそんな報道やコメントを火消しするように、すぐさま涼ちゃんの所属事務所がホームページにコメントを載せた。


『羽瀬涼也の件で、世間をお騒がせしております。本人に確認したところ、友人の一人と聞いております』


ただそれだけだった。

私との関係は、「友人の一人」。


__私、友人の一人、なんだ。


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