今日から君の専属マネージャー

 最近ネット配信サービスでドラマを一気見するようになったお母さんの隣で、いつものようにスマホいじりをしていた。

特に見たいわけではなかったけど、ちらちらと目の端に映る人間模様に、いつの間にか引き寄せられていた。

そしていつしかスマホそっちのけで、ドラマの行く末を見守っていた。

ドラマの作りってすごい。

いつもいいところで終わる。

続きが見たいと思わせる。

さらにネット配信の怖いところが、その続きが気軽に見られてしまうということだ。


__あと一話だけ。


親子そろってその誘惑に負ける。

そして私たちは、夜な夜な一気見コースを辿るのだ。

私はたまたま見たドラマにはまっただけだけど、お母さんの目的はドラマではない。

イケメンだ。

母はイケメンが好きだ。

いい歳してイケメン俳優に恥ずかしげもなくときめき、アイドルグループの何とか君にぞっこんである。

彼らが活躍する映画やドラマ、見逃し配信のバラエティ番組を片っ端から見ている。


「もう時間が全然足りない」


 母はそう嘆き悲しむ。


お母さんの推しメンは過去に何人もいた。彼らが活躍するドラマ、映画、雑誌、音楽、とにかくありとあらゆる媒体に、惜しげもなくお金を費やし、まるでわが子を応援するように、いや、それ以上の愛情を注いできた。

そのためにパートもしている。

今は最近一目ぼれしたという、人気絶頂のイケメンモデルにドはまり中だ。

そんな彼が出演しているドラマを見て、昨夜も目を真っ赤にしながら、流れるエンドロールに向かって乙女チックな甘ったるい声を漏らした。


「りょうちゃん……」


血走った目が、ときめきの光に満ちていた。


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