今日から君の専属マネージャー
「そのためにはまず、今すぐ涼也のところに行って、その仕事を見てきなよ」
「そうしたいのはやまやまなんですが、私、今日スケジュール帖忘れちゃったから、今どこで何の仕事やってるかもわからないんです。
まあ、わかったところで、今から行っても手遅れだと思いますけど」
「だったら、朝の現場に戻ればいい」
「え? そんなのとっくに終わってますよ」
「涼也の出番はね。
でも、そのあとの仕事をしているスタッフはまだいるんだよ。
スタジオの片づけや掃除、機材の撤収、今日の写真をチェックしたり会議したりする人だって。
涼也の仕事としての出番はほんの数時間かもしれないけれど、その延長で働く人たちがたくさんいる。
警備員さんも含めてね」
吉田さんは天井に視線を移して、働く人一人一人の顔を思い浮かべるように話している。
「確かに涼也の仕事自体はあそこで終わり。
だけど今日の仕事は、まだ終わってない。
作品が完成して初めて、涼也の仕事が終わったと言える。
現場ではきっと、まだ続いていると思うよ、涼也の仕事が。
涼也のマネージャーとして、たとえ現場にいなかったとしても、やっぱり、彼の働きぶりは知っておく必要があると思うんだ。
彼の今日の成果を見届けるまでは、彼の仕事が終わったとは言えないからね。
そうじゃないと、今日の彼の頑張りをほめてあげられないでしょ?
それができるのは、マーネジャーしかいんだから
君が今できることは、現場に戻って、涼也が残していった成果を拾い集めることだよ。
実際の働きぶりを見られなかった分もね」