今日から君の専属マネージャー
報告書3.初仕事(改)
これ以上病室にいると、次に何をされるかわからない。
そんな警戒心が働いてそそくさと病室を後にしようとした。
扉に手をかけようとしたとき、「あ、言い忘れたことが」と吉田さんに呼び止められた。
十分警戒しながら、距離をとって振り返った。
「恋は、だめだからね」
表情は穏やかなのに、光るその目は厳しく見えた。
その冷ややかな目に体がぞくりとなった。
「はーい」と小さく返事をして私は病室を出た。
__恋なんて、するわけないのに。
確かに涼ちゃんはかっこいい。
テレビで見るより、雑誌で見るより、何倍もかっこいい。
それは認める。
だけど、それ以上の関係なんかになるわけがない。
彼は画面の中の人。
私たちの間には超薄型テレビという境界線がはっきり見えている。
芸能人と一般人が、そうやすやすと恋愛できるとも思えない。
いちファンになってあげてもいいけど、それ以上は考えられない。
ありえない。
こうして私がマネージャーになって、涼ちゃんが私の日常に入り込んでしまったのだって、ただの事故で、私の自己管理能力のなさが引き起こした災難みたいなものだ。
私にとっては早めの社会人経験。
長い人生の中の、一通過点のようなもの。