今日から君の専属マネージャー

 足を止めると汗が噴き出してくる。

汗をぬぐいながら、私は辺りを見渡した。

あっちの交差点を渡るのが早いか、それともここの交差点の信号を待つのがいいか。

上がった息を整えつつ、私は交差点を交互ににらみつける。

いつでも自分の中で、合理的、効率的な道を天秤にかける。

カーナビのように、いや、カーナビ以上の性能で、ありとあらゆる近道ルートを導き出す。

今日はどこから行けば、安全かつ心臓に良いか。

何通りものルートが、私の小さな頭の中にプログラミングされている。

だからって、頭脳派というわけではない。

こういうピンチの時にしか頭が働かないのだから困る。

普段からばっちり発揮されていれば、今私はぜーぜー言いながら、信号と交差点をにらんでいない。

自己管理能力ゼロの性格も、きっと何とかなっていただろう。

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