今日から君の専属マネージャー
着替えてそっと部屋から出ると、涼ちゃんとすぐに目が合った。
「えっと、どうかな?」
涼ちゃんは私を上から下までじっと見る。
なんだか恥ずかしい。
「どう?」なんて聞いたくせに。
「うん、きれい」
__え?
「めちゃめちゃ似合ってる」
そう言いながら、涼ちゃんは親指を立ててにっと笑った。
その笑顔にどきんと心臓が弾む。
胸がきゅっと締め付けられる。
顔から蒸気が出そうで、思わず両手で頬を覆った。
蒸気が出ない分、鼻から息がふんふんと出てくる。
なぜか湧き出る興奮が抑えられない。
そんな私を差し置いて、涼ちゃんは「髪やるから、その間にご飯食べちゃって」と母親みたいに私に指示を出す。
涼ちゃんは自分の食器を下げると、再びリビングに戻って鞄の中を探り始めた。
私もようやく朝食を口に運び始めたその時、短い髪が落ちてこないように、ピンでとめたはずのボブがはらりと落ちてきた。
そうかと思ったら、髪の間を水が流れるような柔らかな動きが梳いていく。
「え?」と後ろを向こうとすると、
「まっすぐして、今直すから」
涼ちゃんは私の髪にくしを通しながらそう言った。
足元には、おそらく自分のメイク道具だろうか。
アイロンに髪がそっと巻き付けられる。
髪が落ちてこないように、ピンがさされる。
くしゅくしゅと整髪料がつけられる。
その動きのどれもが優しくて心地よかった。
髪を触られている間中、心臓のドキドキが止まらず、朝ごはんの味もよくわからなかった。