今日から君の専属マネージャー
電車の時間には余裕で間に合った。
私が予定していた電車よりも、二本も前の電車に乗れたくらいだ。
それでも涼ちゃんはせかせかと動いていた。
集合場所にも、集合時間よりもずっと早く着いた。
私の予定していた時間よりも1時間ほど早い。
用意された控室で、涼ちゃんは今から始まる仕事の資料を読み込み、それが終わるとその次の仕事の資料に目を通していた。
スタッフの人が続々と集まってきたのを見計らって、涼ちゃんは私を連れてあいさつに回った。
一人一人に声をかけながら、私の紹介もしていく。
私は涼ちゃんにくっついて頭を下げることしかできなかった。
挨拶をしながら涼ちゃんは荷物持ちを手伝ったり、機材を運んだり、ケータリングの準備をしていた。
打ち合わせの時も大人たちに混ざって、スマートにやり取りしていた。
私だけ取り残された気分だった。
場違いな気がした。
どんなに大人っぽい服を着ても、きれいにメイクしてもらっても、髪形を作ってもらっても、涼ちゃんには追い付けないような気がした。
私が何かしなくても、仕事は順調に進んでいく。
そんな居場所のない私に、吉田さんの言葉がよみがえる。
__そばにいてあげるだけでいい。
そうだ。
涼ちゃんの仕事を、ちゃんと見てあげよう。
それが私の仕事。
そう思い直して、私は真剣に話し合う涼ちゃんの横顔をそっと見た。