今日から君の専属マネージャー
「それでは撮影再開します。お願いしまーす」
涼ちゃんは先ほどペットボトルを渡してくれたモデルさんと並んで撮影場所に入る。
モデルさんはとても自然な感じで涼ちゃんの腕にそっと手を絡めていた。
「きれいな人だなあ」
さっき楽屋に挨拶をしに行った時、私は思わず目を見開いた。
くっきりとした大きな瞳。
つややかな長い黒髪。
すうっと通った鼻筋。
触れたくなるような唇。
顔も小さくて、スタイルもよくて。
そして何より、優しさがあふれだしているような人だった。
実際、本当に優しい人だった。
部屋の隅で小さくなっている私に気づいて、すっと長い腕を出してくれた。
すらりと伸びた指先は、爪の先まできれいに手入れされていた。
握手をすると、やわらかくてすべすべとして気持ちよかった。
気さくで、誰に対しても平等に丁寧に対応してくれて、すごく大人びていて、偽物の大人の私とは大違いだった。
そんな彼女の仕草や表情に、私までぽっと赤くなってしまう。
素敵すぎて、目を合わせるのも恐れ多かった。
すべての言動にほれぼれしてしまう。
私なんかがこんな人と、同じ空間に並んで、お話なんかしてもいいのだろうか。
自分にもその価値があるのか不安になるくらいだった。