今日から君の専属マネージャー
写真を確認して驚いた。
こんなに多くの写真が、あの短時間で撮られていたことに。
そしてそのどの写真にも、楓君はばっちりと表情を作っていた。
楓君は終始私を気にかけて声をかけ、時にはふざけたりして緊張をほぐしてくれていたはずなのに、その中でばっちり自分の仕事もこなしている。
遊びながらも軽くポージングを作ったり、カメラ目線をしたり、表情を変えたり。
__これが、プロなのか。
「……すごいね」
楓君への賞賛が思わず口に出た。
「ん?」と不思議そうな顔で私に視線を向ける楓君に、私は体を向き直した。
「すごいよ、楓君は」
「え? 俺?」
「だって私の面倒見ながら、きっちり自分の仕事こなしてて。
すごいね。プロだね。
私、楓君を見る目が変わったよ」
「面倒見るって……。てか美鈴ちゃん、一体俺をどんなふうに見てたの?」
「ちょっと、いや、かなりチャラそうな感じ」
「えー、俺だって真面目なんだけど」
私たちのやり取りに、周りのスタッフさんたちからも笑い声が上がる。
「で、美鈴ちゃんはどうなの?」
「え? 私?」
「ほら、ちゃんと自分の姿を見てみなよ」
楓君に促されてモニターをじっくり見入ると、そこにいる自分の表情に、思わずうっとりしてしまった。
__これ、私? 私、こんな顔してた?
自分の仕草や表情に、ドキドキしてしまう。
きっとカメラの性能がいいんだ。
だって私、こんなんじゃ……。
「カメラは真実を映し出す」
楓君がぽつりと言った。
「かわいかったよ、美鈴ちゃん。ほんとに」
そう言う穏やかな表情に、またどきんと胸が跳ねる。
「後ろ姿だけなんて、もったいないなあ」
そう言いながら、楓君は次々と写真を確認していった。