泡沫の瞳
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真理に「お腹痛くなってきたからトイレ行ってくるね」と、教室から出たのはつい2分前。
とある、残酷な場所へ来た私は、ここから離れたくて仕方なくて。
「おそ」
そう言った男を、私は睨みつけた。
私が来るよりも先に、ここに来ていたらしい。わざわざさっき、〝早く来い〟と言わんばかりに、教室に来たくせに。
あの手のフリは、私に対してしたもの。
目の前にいる男、茅野哲人は、睨みつける私に向かって鼻で笑ってくると、「ちゃんとシてやっただろ?」と、本当に殴りたくなることを言ってきて。
顔を下に向け、泣きそうになりながら私は口を開いた。
「お願いだからもうやめて…」
「何を?」
「…やめてよ…」
「お前とキスしたあと、あの女にキスしたこと?」
「茅野…」
「違うだろ?哲人だろ?お前が哲人って呼べばあいつのことも真理って呼んでやるよ」
本当に、最悪…。
「もう2人を裏切りたくないの…」
「ふうん」
「お願いだから…」
「────お前、分かってる?お前の言動と行動で、俺の機嫌が変わっちゃうこと」
「……」
「ほら、俺の機嫌良くしてみろ」
きらい、
大嫌い、
「取引だろ?美緒」
そう言ってくる男に、ゆっくりと近づく。
そっと近づき、顔をあげ、茅野を睨みつけた。
「…性格悪すぎ」
「俺がいい時、あったかよ」
「無い…」
大好きな杏李の顔を思い出しながら、私から茅野にキスをした。
唇を離し、機嫌を良くした彼は、「まぁ、合格」と私の髪を1束すくう。
「今の分、あの女にサービスしてやるから」
今のキスの分、真理に対して優しくしてくれるということ。
私の心は泣いていた。
杏李…助けて………。
私はこの悪魔に、従うことしかできない…。
真理に「お腹痛くなってきたからトイレ行ってくるね」と、教室から出たのはつい2分前。
とある、残酷な場所へ来た私は、ここから離れたくて仕方なくて。
「おそ」
そう言った男を、私は睨みつけた。
私が来るよりも先に、ここに来ていたらしい。わざわざさっき、〝早く来い〟と言わんばかりに、教室に来たくせに。
あの手のフリは、私に対してしたもの。
目の前にいる男、茅野哲人は、睨みつける私に向かって鼻で笑ってくると、「ちゃんとシてやっただろ?」と、本当に殴りたくなることを言ってきて。
顔を下に向け、泣きそうになりながら私は口を開いた。
「お願いだからもうやめて…」
「何を?」
「…やめてよ…」
「お前とキスしたあと、あの女にキスしたこと?」
「茅野…」
「違うだろ?哲人だろ?お前が哲人って呼べばあいつのことも真理って呼んでやるよ」
本当に、最悪…。
「もう2人を裏切りたくないの…」
「ふうん」
「お願いだから…」
「────お前、分かってる?お前の言動と行動で、俺の機嫌が変わっちゃうこと」
「……」
「ほら、俺の機嫌良くしてみろ」
きらい、
大嫌い、
「取引だろ?美緒」
そう言ってくる男に、ゆっくりと近づく。
そっと近づき、顔をあげ、茅野を睨みつけた。
「…性格悪すぎ」
「俺がいい時、あったかよ」
「無い…」
大好きな杏李の顔を思い出しながら、私から茅野にキスをした。
唇を離し、機嫌を良くした彼は、「まぁ、合格」と私の髪を1束すくう。
「今の分、あの女にサービスしてやるから」
今のキスの分、真理に対して優しくしてくれるということ。
私の心は泣いていた。
杏李…助けて………。
私はこの悪魔に、従うことしかできない…。