たとえ9回生まれ変わっても
わたしは公園に向かって走った。
月も星もなく、雪だけが静かに降り続けていた。
街灯にぼんやりと照らされた暗い夜道は、夢の中で見る白い一本道みたいだった。
夢の中でいつも、わたしは道を行くシオの後ろ姿を追いかけていた。
何度名前を呼んでも、手を伸ばしても、決して届かない。
だけど、紫央はさっきまでいたんだ。
わたしたちはたしかに、一緒にいたんだ。
『帰ろう、蒼乃』
そう言って差し出した手をとって、家に帰ってきて、いつもと同じようにおやすみを言って、また明日って。
わたしはいつも、紫央に手を差し伸べられてばかりだった。
落ち込んでいるとき、迷っているとき、紫央はわたしの目の前にあらわれて、手を差し伸べてくれた。
その手に何度も救われてきた。
だから、今度はわたしが見つける。
紫央がいまどこにいても。
何を考えていたのだとしても。
絶対に見つけて、言うんだ。
一緒に家に帰ろうって。