たとえ9回生まれ変わっても
「ぼくの魂は、あの日からずっとここで眠っていた。眠っていると、泣き声が聞こえてくるんだ。それが誰の声か、すぐにわかった。ぼくがいなくなって、蒼乃が泣いているんだって。蒼乃に元気になってほしいって、ずっと願ってた」
そして目が覚めたときには、人間の、蒼乃と同じ歳くらいの男の子になっていたーー。
「きっと、いまのぼくは、ぼくがいちばんなりたかった姿なんだ。ずっと羨ましかった。蒼乃と同じ歳の男の子になって、一緒にご飯を食べたり、遊びに行ったりしてみたかった」
「紫央……」
紫央の青い瞳が、まっすぐにわたしを見つめる。
「蒼乃が好きだから」
紫央の言葉に、わたしの目から涙があふれた。
ずっと、言いたかった言葉。
伝えたかった思い。
「わたしも、紫央が好き」
怖くて伝えられなかった。
いつか、いまより自信が持てたら、好きって伝えようと思っていた。
だけど、いつかなんてなかった。
いましか、伝えられないんだ。
「大好きだよお……」
ひとりぼっちのわたしの前に、紫央は突然あらわれた。
距離が近くて、いきなり抱きついてきたり、勝手に部屋に入ってきたり、何度もどきどきさせられた。
初めての感情に戸惑ったけれど、自分の気持ちを知った。
紫央が好き。
1人の男の子として。
もっと近くに行きたい。
ずっと一緒にいたい。
そう強く願った。