たとえ9回生まれ変わっても
「よくわからないけど……ありがとう」
そう言うと、紫央の顔がぱっと花ひらくように明るくなった。
「うん」
今度はいきなり抱きつかれそうになって、わたしはとっさによけた。
そのまま布団にダイブした紫央が、涙目でわたしを見上げる。
「なんでよけるの」
「あ、当たり前でしょ」
びっくりして、心臓がバクバクと鳴っている。
こんな調子で同じ家で一緒に暮らすなんて、色々と大丈夫なんだろうか……。
自分の部屋に戻って、ベッドに倒れ込む。
『蒼乃を、暗闇から連れ出してあげる』
あれは、どういう意味なんだろう。
どうして急にそんなことを言い出したんだろう。
もしかして、わたしは前にも、紫央に会ったことがあるんだろうか。
思い出そうとしても、そんな記憶はどこにもない。
だけど、紫央を見ていると、不思議な気持ちになる。
ずっと自分の青い目が嫌いだった。
何も見たくないと思っていた。
だけど、紫央の澄んだ青い瞳は、なんだか雨上がりの空みたいで、きれいだと思ったんだ。