たとえ9回生まれ変わっても




チャイムが鳴って、3日間のテストがすべて終わった。

「終わったー!」

「できたー?」

開放感から、教室が一気に賑やかになる。
井上さんと吉田さんが、わたしのところにやってきた。

「森川さん、今週の土曜日大丈夫?」

は、と大事なことを思い出す。

テストが終わったらみんなで遊びに行こうと話していたのだった。

井上さんと吉田さん、わたしと紫央の4人で。

「う、うん、大丈夫」

「やった! どこ行く?」

「あっ、わたし行きたいカフェがあるんだよねー」

忘れていたわけじゃない。
意識しないようにしていただけで。

意識してしまうと、緊張してテストどころではなくなってしまうから。

休みの日にクラスメイトと出かけるというのは、わたしにとってそれくらい一大事なのだった。

何をするかは2人に任せるとして、もっと初歩的な問題が。

遊びにって、どういう格好で行けばいいのだろう。

出かける服がない。
わたしはさっそく、ピンチに陥っていた。




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