たとえ9回生まれ変わっても
◯
チャイムが鳴って、3日間のテストがすべて終わった。
「終わったー!」
「できたー?」
開放感から、教室が一気に賑やかになる。
井上さんと吉田さんが、わたしのところにやってきた。
「森川さん、今週の土曜日大丈夫?」
は、と大事なことを思い出す。
テストが終わったらみんなで遊びに行こうと話していたのだった。
井上さんと吉田さん、わたしと紫央の4人で。
「う、うん、大丈夫」
「やった! どこ行く?」
「あっ、わたし行きたいカフェがあるんだよねー」
忘れていたわけじゃない。
意識しないようにしていただけで。
意識してしまうと、緊張してテストどころではなくなってしまうから。
休みの日にクラスメイトと出かけるというのは、わたしにとってそれくらい一大事なのだった。
何をするかは2人に任せるとして、もっと初歩的な問題が。
遊びにって、どういう格好で行けばいいのだろう。
出かける服がない。
わたしはさっそく、ピンチに陥っていた。