たとえ9回生まれ変わっても




結局、1ゲームもしないまま「ほかのお客様のご迷惑になるので」と店員さんに追い出されて、わたしたちは外に出た。

「なんか、ごめんなさい……」

紫央が予想外の行動をするのはしょっちゅうだ。

でもまさか、ボールを追いかけてレーンを走っていくなんて。

ちゃんとルールだって説明してあったのに、なんであんなこと……。

みんな楽しみにしていたのに、怒られて、追い出されて、台無しだ。

「なんで蒼乃が謝るの?」

紫央が首をかしげる。

わたしは苛ついた。
だからつい、声を荒げてしまった。

「紫央がなんにもわかってないからでしょ。ボウリングのボール追いかけて走ってくなんてあり得ないよ。恥ずかしいことばっかりしないで!」

紫央は、何か言うかと思ったけれど、しゅんと目を伏せた。

「……ごめんなさい」

なんでいま謝るの?
謝る相手間違ってるよ。

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