たとえ9回生まれ変わっても
◯
「はー、遊んだ遊んだ」
「もう紫央くん最高だよ」
そんな会話をしながら、駅まで歩く。
ボウリング場を追い出されたあと、紫央が「バトミントンをしてみたい」と言うので、コンビニで売っていたバトミントンのラケットを買って、公園に行った。
……結果的には全然、バトミントンにならなかった。
紫央は動くボールだけじゃなく、動く羽根も追いかけたくなってしまう性分らしい。
やっぱりさっきのボウリング場での奇行は、わたしが元気がなかったからというのは言い訳で、やっぱりただボールが転がってたから追いかけただけな気がする。
でも、みんな笑っていた。
アイスクリームを食べて、みんなで写真を撮った。
どうなるかとかと思ったけれど。
さっきまでの重い気持ちは、もうすっかりどこかへ消えていた。
「じゃあねー、また月曜日」
「ばいばーい」
井上さんたち4人とは帰る方向が逆なので、改札のところで別れた。