たとえ9回生まれ変わっても




「はー、遊んだ遊んだ」

「もう紫央くん最高だよ」

そんな会話をしながら、駅まで歩く。

ボウリング場を追い出されたあと、紫央が「バトミントンをしてみたい」と言うので、コンビニで売っていたバトミントンのラケットを買って、公園に行った。

……結果的には全然、バトミントンにならなかった。

紫央は動くボールだけじゃなく、動く羽根も追いかけたくなってしまう性分らしい。

やっぱりさっきのボウリング場での奇行は、わたしが元気がなかったからというのは言い訳で、やっぱりただボールが転がってたから追いかけただけな気がする。

でも、みんな笑っていた。

アイスクリームを食べて、みんなで写真を撮った。

どうなるかとかと思ったけれど。
さっきまでの重い気持ちは、もうすっかりどこかへ消えていた。


「じゃあねー、また月曜日」

「ばいばーい」

井上さんたち4人とは帰る方向が逆なので、改札のところで別れた。


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