たとえ9回生まれ変わっても
仲間に入れてもらえなかった。
わたしだけ輪の中から弾かれた。
きっかけは、間違いだった。
小学校のとき、地域の交流会で、ボウリングに行った。
友達は親も付き添いで来ていたけれど、わたしの両親は仕事で忙しく、そういうイベントにはいつも不参加だった。
それが子どもの悪ノリに拍車をかけた。
『ア、オ、メ』
誰かが、わたしの名前を書くとき、間違えてそう書いたんだ。
『ごめーん蒼乃ちゃん。名前間違えて、アオメちゃんになっちゃった!』
一緒のグループになった女の子がそう言って、どっと笑いが起こった。
その女の子は笑いがとれたことでいい気になって、悪びれもなくわたしに笑いかけた。
『これでいいよね? アオメちゃん』
子どもでもわかる。
間違いなんかじゃなかった。
最初から悪意があった。
あれは、遊びのふりをした、イジメだった。
だけど、わたしは苦笑いを浮かべることしかできなかった。
『うん、いいよ。間違えたんだし』
その瞬間から、わたしのあだ名は『アオメちゃん』になった。
『アオメちゃん、早く投げてよー』
『アオメちゃん、待ってるんだけどー』
みんな笑っていた。
わたしが何か言うと、おもしろいことなんて言っていないのに、爆笑が起こった。
友達の親も、その様子を見ていたのに、知らんふりをしていた。
中には一緒になって笑っている大人たちもいた。
きっと普段から、自分の子どもがわたしと一緒に遊ぶのをよく思っていなかったのだろう。
あのときわたしは、同じ人間としてそこに立っている気がしなかった。
みんなの笑いをとるだけの、何か奇妙な生き物にでもなったみたいだった。
消えてしまいたい。
本気で、そう思った。