たとえ9回生まれ変わっても
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今日は1限から英語がある。
わたしは教科書を開いてため息を吐いた。
英語は中学のときから、ほかの教科より念入りに予習をしている。
だから、テストの点数だけはいい成績をキーブしている。
でも、話すほうは全然ダメだった。
当てられると途端に頭が真っ白になって、何も言えなくなってしまう。
お母さんは英語ペラペラなのにな、と思う。
お母さんは若いころ、ずっとイギリスに住んでいた。
大学のときに知り合ったお父さんと結婚して日本にやってきてからはほとんど英語を使うことはないけれど、おばあちゃんと話すときや、イギリスにいる友達にメールを送るときは英語を使う。
べつに話せなくたって困らないならいいじゃないか、と思われるかもしれない。
でも、私の場合、困ることがたびたびあった。
英語喋ってみてよ。
からかいまじりにそう言われたことは何度もある。
でもわたしは英語を話せないし、見た目だけならお母さんよりわたしのほうがよっぽど外国人みたいに見えるのに、見掛け倒しだ、と笑われたことも。
そんな心ない無神経な言葉をかけられるたびに、お母さんはわたしに、話したくないなら無理して話さなくたっていい、あなたは日本に住んでいるんだから、と何度も言い聞かせてくれた。
苦手なことを克服するのは難しい。
そのせいで嫌な思いをたくさんしてきたからなおさら、苦手意識が強くなってしまう。