イジワルな君に、ラブレターを。
*1*
私、麻生 若葉は、朝にめっぽう弱い。
だから私の朝は、いつもアイツに起こされるところから始まる。
「おーい。わーかーばー」
“ 若葉 ” と私の名を呼ぶ、耳障りの良い甘い低音ボイス。
「お前、まーだ寝てんのかよ? 朝だぞー?」
私に話しかけている声が、徐々に大きくなってくる。
「あーもう純太、あんた朝からうるっさい! もう少し寝かせてよ……」
そう言って私は、布団を頭の上のほうまでかぶる。
「はぁぁ? せっかく俺が起こしてやってんのに。おとなしくさっさと起きろよ、このアホが」
「…………」
私は聞こえていないフリをする。
「おいおい。この俺を無視するとか、良い度胸してるじゃねぇか。お前がその気なら、俺が今から10数えるまでに起きないと、その口塞ぐからな!?」
はい!?
「10、9、8、7……」
いきなりカウントダウンが始まり、純太の顔がだんだんと私の口元へと近づいてくる気配がする。
ねぇ、『その口塞ぐからな』って。
まさか、キスするってこと!?
ちょっと待ってよ……!
「6、5、4……」
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