イジワルな君に、ラブレターを。
私がグズグズしている間に、時間だけが過ぎていき……。
ついに、中学の卒業式当日を迎えてしまった。
ホワイトデーでもある今日は、雲ひとつない青空が広がっている。
まるで空が、私たちの旅立ちを祝ってくれているかのようだ。
卒業式の前に教室で、担任から配布された赤い花の胸章を、白いセーラー服の左胸ポケットのところにピンで止める。
ああ、本当に今日で卒業するのだなと気が引き締まった。
この教室で過ごすのも、あとわずか……。
この学校に来るのも、今日で最後。
私は、純太のほうをちらっと見つめる。
純太は、友達とゲラゲラ笑っていて。
そんな彼の楽しそうな笑顔に、胸がときめいてしまう。
あの日寝不足になってまで一生懸命書いたラブレターは、まだ純太に渡せないまま今も私のスクールバッグの中にある。