イジワルな君に、ラブレターを。
体育館での卒業式典が終わり、私たちは教室に戻ってきた。
担任の先生からひとりずつ卒業証書を受け取り、ついに最後のホームルームも終わった。
あれだけ厳しかった体育教師で担任の原田先生の涙ぐみながらの最後の挨拶には、思わず涙腺が緩んでしまった。
ああ。これで、本当に卒業なんだ。
まだ、卒業したくないよ……。
「ねぇ、若葉。一緒に写真撮ろうよ」
「うん」
莉奈が、私に声をかけてくれた。
「いい? 若葉、いくよーっ」
莉奈と顔を寄せ合い、カメラに向かってポーズを決める。
──カシャッ!
「上手く撮れたね。若葉とは、高校も一緒だから。これからもよろしくね」
「こちらこそ」
「……ねぇ、若葉。言わないでおこうかと思ってたんだけど……河辺くんとは、このままで良いの?」
「え?」
「だって河辺くん。若葉とは違う高校に行くんでしょう?」