イジワルな君に、ラブレターを。


そうだ。純太は、中学を卒業したら……私とは別の高校へ進学する。


しかも進学先は県外の高校で、純太は学校の近くで下宿すると言っていたから……今までみたいに簡単には会えなくなる。


「余計なお世話かもしれないけど……このまま卒業しちゃっても良いの? ラブレターだって、無駄になっちゃうんじゃない?」


……このまま、中学を卒業して良いわけがない。


私は、手紙とラッピングされたキャンディーを手にする。


このままだと私は、大変な忘れ物をしたままになってしまう。


純太は……どこだろう?


私は教室をキョロキョロと見回す。


あれ? 純太、教室のどこにもいない。


もしかして、もう帰った!?


「莉奈。私、頑張ってみるよ!」

「うん、頑張って!」


私はスクールバッグを肩にかけると、教室を飛び出し廊下を走る。


「はぁ……はぁっ」


純太……どこ?


今すぐ、純太に会いたい。


純太に会って、この前のことを謝って。


ホワイトデーの今日、ラブレターとキャンディーをちゃんと渡すんだ。


そして私の想いを、伝えるんだ……!


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