イジワルな君に、ラブレターを。
すぐ後ろから聞き慣れた声が聞こえて、肩がビクッと跳ねる。
「じゅっ、純太……っ!」
振り返ると、そこには呆れた顔の純太が立っていた。
ちょっ、いつの間にこっちに来てたの!?
「もしかして、さっきの会話聞いてたとか?」
まさか『はい、そうです』なんて言えるわけがない。
「ちっ、違うから。たまたま通りかかっただけだけだよ。それじゃあ私はこれで……」
私は早口でそう言うと、その場から歩き始める。
どうしよう。つい純太から逃げるように歩きだしてしまったけど。
私……このままで良いの?
今日で最後なのに。
純太に想いを伝えると決心して、ここまで来たはずなのに。
私は、歩いていた足を止める。
……ここで逃げたら、ダメだ。
純太に何も伝えないまま、諦めるなんてしたくない。
純太に好きな人がいたって良い。
せっかくここで、純太に会えたんだから。
ラブレターとキャンディーだけは、ちゃんと渡さなくちゃ。
このままじゃ絶対に後悔する。
私は、しぼんでいた気持ちを必死に奮い立たせる。
「純太……!」