イジワルな君に、ラブレターを。
「……っ、はい。ありがとう、純太ぁ」
私は、感極まって涙ぐむ。
「泣くなよ、若葉」
「だって、嬉しくって……」
今まで意地悪なことをされたり、『大嫌い』だと言われて、嫌われているとばかり思っていた純太から『好き』だと言われて。
これ以上に嬉しいことはない。
「若葉……好きだよ」
純太の整った顔が近づいてきて、私たちの呼吸が重なった。
ほんの少し唇が触れただけなのに、頬がじわじわと熱くなっていく。
「やばい。俺たち、キスしちゃったな」
恥ずかしそうに言う純太の耳元が、桜色に染まっている。
「うん」
初めてのキスはなんだか照れくさくて、純太の顔を見ることができない。
「若葉。俺、向こうに行ったら手紙書くから」
「うん。私も手紙書くね」
「ああ。俺たちなら、離れていてもきっと大丈夫だ」
そう言って純太は、私のことを力強く抱きしめてくれる。
───卒業式の今日。
中学を卒業するとともに、私は純太と幼なじみからも卒業することができた。
ねぇ、純太。
私は今回のラブレターだけでなく、これからもたくさん純太に手紙を書くよ。
そして何度でも君に、好きって伝えるんだ。
世界中の誰よりも、純太のことが大好きだって。
【End】